2006/03/15

アルミ蒸着メッキに挑戦してみる

 

画像は塗装済みのパーツにアルミ蒸着メッキをかけてもらったものです。

これぐらいのパーツなら3000円ぐらいで施工が可能だったりします。

 

メッキというと複雑なプロセスが必要だったり素人厳禁のような

イメージがありますが、アルミ蒸着メッキは比較的簡単な原理です。

 

こんな感じ。

真空中でアルミを600度ぐらいに加熱すると、沸騰して

アルミ蒸気になります。

これが全体に広がり、一緒に真空中に入れてある施工したいものに

アルミが薄く広がるというものです。アルミを金に変えれば金メッキになります。

こんな簡単な原理のため、蒸着メッキにはこんな特徴が。

 

下地がなんでも大丈夫(きれいじゃないとだめですが)

アルミがくっついているだけなので、他に保護膜が必要(普通はクリア塗装)

簡単=安い

怖い薬品を使わない

 

などがあります。

こんな簡単な原理で本当にメッキができるなら、自分で試すのが男というもの。

とりあえず理論が本当かどうか実験してみます。

 

まずは真空容器の変わりになるもの

熱に強いステンレスで真空に耐えられる容器で安いものといえば

これしかありませんでした。(うちにあった物なのでただでした)

本当なら圧力鍋だったら大変に便利なのですが、そんな高級品は無理です。

 

そして今回の要となる真空にするための改造をします。

真空ポンプはエアコン冷媒を入れるために使う、真空ポンプを使います。

エンジンの負圧を使うことも考えましたが、できるだけ真空に近づけないと

沸騰する温度が上がってしまうと思われるため断念。

当然そのままでは使えませんので、バルブを鍋に取り付ける必要があります。

バルブ

当然廃車からとってくるわけですが

材質はアルミなので、通常のバルブ(右)は取り付けに大変苦労しますが

車種によっては左側のようにねじでバルブ単体が取り外せるものがあります。

こいつがないと特殊な接着剤が必要になりそうです

 

鍋の底を若干膨らませます。

アルミが溶けた場合にたまる部分を作っておきます。

底が3重ぐらいの構造で1センチぐらい厚みがあり

大変苦労しました。

 

装置一覧

鍋はそのままではぴったり蓋がつかないので、ゴムのパッキンをはさんでいます。

本当だったら熱に強いシリコンゴムがいいんですが、予算の関係でただのゴム

 

鍋の中にアルミのごみを入れておき、バーナーで直接炙って

溶けることを確認しておきます。

 

そしてメッキをするものをセット

今回は缶スプレーの蓋を使います。

 

そして下からアセチレンで炙っていきます。

そして真空装置をスイッチON!

 

みるみる鍋がつぶれていく・・・真空は思ったより強い。

こんな形になってもけなげな鍋は真空を保ちつづけます。

 

中の様子がまったくわからないので、どれぐらい炙ればいいか

炙ったあとにどのように冷やせばいいかがわかりませんので

すべて適当です。

中の温度が上がってプラスチックが溶けてしまうように見えますが

そこは真空中ですので、熱を伝えません。

なので熱の問題は無視して大丈夫です。

 

気の済むまで炙りつづけたら、まばゆいばかりのメッキとご対面です。

 

あれ?

蓋が無くなってる?

 

鍋の底で変わり果てた姿に・・・

だれだよ?熱の問題はないって言ったやつは。

 

考えられる原因として、鍋の底が赤熱して赤外線の熱で

プラスチックが溶けてしまったか、若干空気が残っていたために

熱がプラスチックに伝わってしまったということが考えられます。

しかしそれよりも問題なのは、中に入れておいたアルミが

溶けていないというのが問題です。

 

鍋の底 外側のアップ

熱しすぎて穴があいた?と思いましたが、真空にはなっています。

どうやら複数構造の一番外側(ステンレス)が破れたようです。

かっこよく言えば第1装甲損傷です

この複数構造は想像以上に手ごわく、鍋なのに熱をうまく伝えてくれません。

これには参った。

 

だめもとでさらに炙ってみたところ、これだけ穴が広がっても最終防衛ラインは死守して

穴があきません。

しかし、この状態で真空にして炙った瞬間に最終装甲損傷。

よくよく考えればわかることですが、1ミリもない赤熱したステンレスが

真空に耐えられるわけがありません。

 

怒りで装甲を剥離。

そして衝撃の事実が。

外側から・・・ステンレス0.6mm アルミ10mm ステンレス0.6mmという

構造ということが判明

600度で溶けてしまうアルミをいくら熱していても

そりゃそれ以上温度が中まで伝わらないわけです。

 

 

このような本質以外の部分で失敗しているわけですが、それでも

真空中でアルミを溶かす・・・ということは

何とか可能だという道筋が見えてきました。

改善点としては

もっと丈夫な圧力容器が必要

(消火器が第一候補)

アルミを溶かすのにニクロム線のほうがいい

(ホットプレートかドライヤーから取り出す予定)

たったこれだけですので、次こそ何とかなりそうです。

 

製作がいつになるかはわかりませんけどね。

 

 

 

 

 

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